何も知らない

母は何も知らない。


何を言われてもなぜか左腕を突き出して
あたしの何を知ってるんだと言えない。


あんたは強いからって言われても
ただただ泣くことしかできなかった。

ここに居たくないんだよ。わかってよ。
学校の友達だって好きな子はいるよ。
でもね、まだ繋がれない部分があるんだ。
わかってくれる人と一緒にいて何がいけないの？

ここに居たくないから
遅くまで信用できる人と一緒にいるだけじゃない。
あんたは何も知らない。


知ったような口たたかないで。
嫌われてるんだねって・・・前からそう言ってるよ。
嫌いだよあんたなんか。
それでも我慢して家の中にいるよ。

世界の終わりという雑貨店の駒と似ているような気がした。
家も学校も嫌で分かり合える人と逃げたい。
それでもあんたはあたしを追いかけてくる。
それが嫌なんだってば。
あたしにとってあんたは金がでてくるものでしかない。
こんな言い方するあたしは最悪だよ。それもわかってる。
中坊のくせにって言われてもしょうがない。
ほんとのことだから。

だけど結局何もできないで籠の中。
独りじゃ生きていけない。
まだ親の監視下に居なくちゃいけない。
まだ自由も人権もないんだ。


どうして泣いたんだろう。
哀しくないのに。
自分が間違ってることがわかってるから？
そんなの認めたくない。絶対に。
これじゃただのワガママね。


だけど・・・嫌なものは嫌なんだ。
産まれてきてごめんなさい。